2015/11/2 18:00

マイケル・ムーア、テレビと映画の違いや、映画製作への女性参加の重要性を語る

494108734-e1445728840428 映画監督のマイケル・ムーアは2015年10月24日に開催された全米製作者組合(PGA)によるイベント『Produced By NY』に出演し、自身の基調講演を締めくくる質疑応答の中で、ドキュメンタリーのプラットホームとしてのテレビと映画の違いや、女性が映画製作に参加することの重要性について述べた。

ムーアは会場となったタイムワーナー・センターで聴衆に向かい、「暗い劇場の中で皆で映画を観るという体験をもっと積極的に選んでもらうために、私のドキュメンタリー映画はできるだけテレビで放映しないようにしています」と語った。

オスカー受賞作となった彼の映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』に続けとばかりに、ドキュメンタリー作品の供給過剰が起きた。ひと昔前のドキュメンタリー作品が限定公開という形で市場に溢れ、オスカーの予選には小劇場用に作られたドキュメンタリー映画が集中している。

彼はPGAが主催する終日の懇談会で「テレビ向けに作られたドキュメンタリーを劇場で公開するべきではありません。テレビ向けに作られたドキュメンタリーは、テレビで見るべきだと思います」と語った。

多くのドキュメンタリー映画が劇場公開後すぐにテレビで放送されてしまうために、ドキュメンタリー映画は劇場で見る必要はないという印象を多くの人に与えてしまっているという。

「私は自分の映画をできるだけ長くテレビで放送しないように努めています。テレビは受身の媒体であるのに対し、映画は観客のコミットメントを伴う能動的な媒体です。もし、人々がほかのアメリカ人と連れだって映画を見てくれるようになれば、私の政治的な活動にとっては良いチャンスになるでしょう。私は人々に、もっと怒ってほしいのです。劇場を出た人の、たぶん10%ほどが影響を受けて行動してくれることに期待しています」(ムーア)。

また、彼は「iPhoneで見るような映画を撮るつもりはありません」とも語った。

ムーアは過去にNBCやBravoなどで働いていたことがあり、別に自分がテレビについて高尚な意見を言おうとしているわけではないと語った。彼は今まで、アメリカのテレビ番組で見たいと思うほどの番組は無かったとしながらも、今はテレビドラマ『ミスター・ロボット』のエピソードを一気に見ている最中であり、また、『The Bachelorette(原題)』(25人の魅力的な異性から婚約者にしたい1人を選ぶリアリティ番組)を時々見ていると明かした。

 しかし、ムーアはスクリーン・サイズの違いに対しては強い感情を持っている。

「もし、誰かがiPhoneで映画『アラビアのロレンス』を観ているのを見かけたら、私はそれは本当の『アラビアのロレンス』ではないですよと言ってあげるでしょう。そんなもの、映画ではありません。映画とは、暗い劇場で、知らない人と一緒に見るものです」(ムーア)。

コロンビア大学映画学科のアネット・インスドーフ教授を交えたQ&Aセッションの中で、ムーアは「業界関係者にとって緊急かつ重要な課題は、もっと女性の声を関係者の最高レベルに届けることです」と力説した。彼は、最近の興行成績でトップ100位に入っている作品の中に、女性監督による作品がわずか2%しかないことに言及した。ムーアは自身の最新作となる映画『Where to Invade Next(原題)』のプロデューサー11名のうち、8名が女性であると述べた。

「女性が一緒に参加している方がうまくいきます。多様性があるほうが良いのです。同じ部屋の中で、めいめいが自分の声の音量に気をつけている状態が好ましいと思います」(ムーア)。また、女性監督や女性プロデューサーの不足がもたらす真の影響は、本来作られるべき何千もの作品が作られないことだと述べた。

大衆主義の活動家であり続けるムーアは、業界関係者こそ、多様性についてもっと主張すべきだと示唆した。彼は「作品を見た観客に、多様性に関しては自分は敗者なのだと悟ってもらえるなら、世界は変わるでしょう」と語った。

『Where to Invade Next(原題)』では、ムーアはイタリアやドイツなど、いわゆる侵略国としての歴史を持つ国へ旅した。その経験が彼に教えたことは、「女性がより多くの権限を持ち、また、取締役会には必ず女性を含めるといった義務を企業に負わせているような国は、多くの場合、上質な生活を維持している」ということだ。

「私たちはいずれ、上院議会に女性が20人いることに満足していた日のことを、馬鹿げていたと思うでしょう」(ムーア)。

ムーアは60歳を超え(現在彼は61歳)、もっと多くの面で、アメリカ人に変化を求めて戦う気を起こさせる必要があると思うようになったという。彼は同姓婚の問題が急激に動いたことにインスパイアされている。

ムーアは「人生は短いなどという言葉には、何の意味もありません」とし、「私は人生の残り3分の1に入りました。もう待っている時間はありません。私たちは皆、不可能を可能にできると信じていきたいものですね」と語った。


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